馮晨(Feng Chen)さんが、博士号を取得しました。(2022/03/03)

馮晨(Feng Chen)さんが、博士号を取得しました。

Title:The Evaluation and Application of Bio-emotion Estimation Methods(生体感情推定手法の検証と応用)


(概要) 本研究は,人の感情の推定を生体情報から行う生体感情推定手法の効果の検証と応用を目的としている.提案している生体感情推定手法は,生体信号と心理学モデルを統合し,感情を判定する有望な手法として注目を集めている.本手法は生体信号である脳波(Electroencephalography; EEG)を心理学モデルのArousal(覚醒),心拍変動(Hart Rate Variability; HRV)から取得する自律神経指標を心理学モデルのValence(快不快)という心理指標に対応させ,Arousal/Valence二次元上に配置した値から, 心理的な喜怒哀楽を生体情報にて判定する手法である.
先行研究では,有効性の検証や応用が十分ではなく,応用も十分に行われていなかったことから,本研究では,これらの検証と応用を実施した.検証では,代表的な感情の主観的な測定尺度であるSAM(Self-Assessment Manikin)を利用し,Arousal,Valenceに対し,生体信号から取得した感情の推定結果と対比させ一致率により評価を行った.結果,SAMで評価した主観に対して生体感情推定手法で推定した感情が半数以上の実験協力者に一致するという結果が得られ,手法の有効性を示した.また応用として,本生体感情推定手法により検出された感情により人の心理状態を判定し,その結果を本人にフィードバックし,自分の感情状態を意識させ,ネガティブ感情の制御する方法を提案した.
本研究では提案手法の設計・実装を行い,実験を実施し,実験協力者の感情を検証した.結果,実験協力者がネガティブな感情状態の際に,フィードバックにより自律神経の状態を表すValence(快不快)の改善が見られたことが述べられた.更に,生体感情推定結果のフィードバックにより,一部の実験協力者の感情状態を無意識的に調節できることを明らかにした.